みなさん、こんにちは。仙台税理士・公認会計士の伊藤宏平です。
「中小法人等」と「中小企業者等」で受けられる税制上の優遇措置が異なります。前回、「中小法人等」と「中小企業者等」ってどう違うのかお話しました。今回のお話は、両者のうち「中小法人等」が受けられる税制上の優遇についてお話します。
目次
前回のおさらい
さて、「中小法人等」ってどんな会社でしたっけ?そう、「期末の資本金が1億円以下の法人で、資本金5億円以上の大法人による完全支配関係がない法人」をいいます。ここの判定には留意が必要です。自社の資本金が1億円以下であっても100%親会社の資本金が5億円以上ある場合は、優遇を受けることができません。ここの判定次第で優遇できるできないが決まります。具体的な判定は、専門家にお尋ねすることをお勧めします。
具体的な優遇措置はどんなものがある?
では、ここで中小法人等が具体的に受けられる法人税法上の優遇ってどんなものがあるのかお話します。
具体的には、次の6つがあります。
受けられる優遇措置 |
1.軽減税率の適用 |
2.特定同族会社の特別税率の不適用 |
3.貸倒引当金の損金算入 |
4.交際費等の損金不算入制度の定額控除 |
5.欠損金繰越控除制度の特例 |
6.欠損金の繰戻還付制度の適用 |
【解説】
1.については大法人であれば所得に一律23.4%に対して中小法人等は、所得800万円までは15%と800万円で両社の税額を計算すると両社に672,000円の中小法人等の方が税額が安くなります(800万円×(23.4%-15%))。
2.これは、同族会社(3株主グループで持株割合が50%超)でさらに1株主グループで持株割合50%超となる場合に、会社の一定の内部留保に対して課税される特定同族会社の特別税率について不適用とすることができる優遇です。中小法人等の場合、社長などのオーナーに持株割合が集中するのは大法人と比べて普通なことです。この場合に特定同族会社になり、内部留保にまで課税されてはたまりませんものね。
3.貸倒引当金の損金算入は、税制改正により一定の業種を除き損金算入できないこととなりました。しかし中小法人等は、優遇され一定の貸倒リスクに対して計上した貸倒引当金については、損金算入が認められます。
4.中小法人等は、800万円以下までは、交際費等が全額損金算入認められています。
5.繰越青色欠損金(前期以前の赤字)を、当期の所得限度までの損金算入できます。
6.前期に法人税の納付が発生し、当期欠損金が発生した場合、前期納付の一部について還付が受けられます。
いかがでしょうか?かなり大法人と比べて優遇されています。
おまけ
ちなみに中小法人等の判定で資本金5億円以上の大法人の完全支配関係(100%子会社)である場合は、優遇を受けられないとお話しましたが何故そんなことをしているのでしょうか?
これは、もともと中小法人等の優遇措置は、中小法人の脆弱な財務基盤を税制面から支援する趣旨があるからです。資本金5億円以上の大法人は、原則として監査法人からの会計監査を受けるほどに大きな会社です。この大法人の完全支配関係(100%子会社)であれば先にお話した脆弱な財務基盤に対しても親会社からのサポートを受けることが可能であるということから除外されているんです。
グループ会社がなく単体の会社で資本金1億円以下であれば基本的に優遇を受けられますが、グループ会社がある場合には、判定に注意してくださいね。
会社を仙台で設立するなら税理士・公認会計士の伊藤宏平にお任せください。
それでは、また。