みなさん、こんにちは。仙台税理士・公認会計士の伊藤宏平です。
今日から少し晴れ間が見えていますね。やはりまだ8月もあってか日差しが強いです。
少し車内にいたり、歩いているだけで汗ばんできます。でもやっぱり夏は暑くなくちゃいけませんよね。
9月後半にもなると秋が近づいてきて涼しくなりますから。今年最後の夏を存分に味わいましょう。
さて、それでは今日のお話です。引き続き「相続税・贈与税について考える-その5」として相続時において相続財産の承認と放棄した場合についてお話したいと思います。
目次
相続財産はプラスもマイナスもある
突然ですがみなさんは、相続って必ずしもいいことばかりだとお考えでしょうか?実は決してそうとは言い切れないのです。
プラスの相続財産とは?
プラス(積極財産)の相続財産というのは、どういうものでしょうか?
例えば、現金預金、株式、土地、家屋といったプラスの価値のあるものです。
マイナスの相続財産とは?
一方、マイナス(消極財産)の相続財産というのは、どういうものでしょうか?
例えば、よくあるものとしては、借金、未払金、果ては連帯保証人となって確定した弁済額なんてものも該当してきます。
相続するとはどういう意味?
相続する意味っていうのは、どういう意味でしょうか?
これは、亡くなった方(被相続人)の財産(プラスもマイナス)も包括的に継承するという意味となります。
えっ!!じゃあ、借金とか沢山あったらどうしよう・・・。とお考えになると思います。その場合、次のような方法を選択できます。
相続の承認と放棄とは?
相続の選択方法って?
相続には、前提として相続する方法を選択できるんです。
以下のパターン1~3の方法を相続人は選択することができます。
【相続の承認と放棄】
種類 | 効果 | 申述期限 | |
パターン1 | 単純 承認 |
プラス・マイナスの財産ともに全て継承する | 申述の必要なし |
パターン2 | 限定 承認 |
プラス財産を限度としてマイナス財産を継承する | 相続開始を知った日から3ヶ月以内 |
パターン3 | 放棄 | プラスもマイナスも継承しない |
<パターン1 単純承認>
これは、プラスもマイナスの財産全てを継承する方法で一般的な選択です。この方法を選ぶ場合は、特に何かを申述する必要はありません。
<パターン2 限定承認>
これは、プラス財産を限度としてマイナス財産を継承する方法です。どういうことかというと被相続人の財産に多額の借金などのマイナスの財産があり、マイナスの財産がプラスの財産を超過する場合に選択する方法となります。この方法を選択する場合は、「相続開始を知った日から3ヶ月以内」に申述する必要があります。相続開始を知った日とは、被相続人の方がお亡くなりになったことを知った日つまり自宅や病院で看取った日となるのが一般的です。そこから3ヶ月以内に判断しないといけません。しかしながら、被相続人にどれくらい借金があるのかわからないってことがあると思います。ですので、借金などが多いということがあらかた判明している場合は、「限定承認」を選択することをおすすめします。
ちなみに申述書としては、家庭裁判所に限定承認に関する書類を提出することが必要です。提出しない場合は、単純承認したとみなされますのでご注意くださいね。
<パターン3 放棄>
これは、プラス・マイナス財産の全てを継承せず放棄する方法です。これは、どういった場合に選択するのかというと、明らかに借金が多額で同額のプラスの財産を継承してもマイナスの財産を返済していくことが困難であると予想される場合や、相続人間の争いに巻き込まれたくない場合に選択されることが多いです。パターン2と同様に「相続開始を知った日から3ヶ月以内」に申述することが必要となります。
ちなみに申述書としては、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出することが必要です。提出しない場合は単純承認したとみなされますのでご注意くださいね。
上記のパターン1~パターン3のいずれかを選択することになりますが、パターン2とパターン3については、期限が設けられているので遅滞ないように選択する必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
相続財産には、プラス(積極財産)の財産とマイナス(消極財産)の財産の2つがあることをお話しました。
また、相続財産の継承方法は選択できて以下の3パターンがあります。
<パターン1 単純承認>
プラス・マイナス財産全てを継承する。申述必要なし。
<パターン2 限定承認>
プラス財産を限度にマイナス財産も継承する。相続開始を知った日から3ヶ月以内に申述する(家庭裁判所に限定承認に関する書類を提出する)。申述しない場合は、単純承認したとみなされるので要注意です。
<パターン3 放 棄>
プラス・マイナス財産の全てを継承しない。相続開始を知った日から3ヶ月以内に申述する(家庭裁判所に相続放棄申述書を提出する)。申述しない場合は、単純承認したとみなされるので要注意です。
長々とご覧いただきありがとうございました。今回の話も以前のお話も含めて相続のお話は突然として生じてきます。あらかじめ祖父母や両親を含めて親族間の調整をすることが望ましいことです。
仙台税理士・公認会計士の伊藤宏平でした。
それでは、また。