みなさん、こんばんは。仙台税理士・公認会計士の伊藤宏平です。
今日も天気が芳しくありません、朝6時に起床した時、外は大雨でした。一体、仙台の夏はどこにいったのでしょうか?天気が悪い中、ミンミンゼミが大合唱していますが熱くない中だとこんなに違和感があるのかとふと感じていました。
さて、前回に続いて身近な税金である相続税・贈与税についてお話していきます。
前回の内容は、相続税と贈与税ってどんな税金なのかそして、なぜ相続税や贈与税が課せられるのかといった内容の記事でした。
今回は、「どれくらい財産を持っていると相続税が課税されるのか」という内容をお話していきます。
ちなみに、優遇措置や減額といった細かい部分は書ききれませんので一般的な部分でお話していきますのであしからず。
目次
どれくらい財産を持っていると相続税が課税されるのか?
みなさんは、祖父母、ご両親の財産を相続する場合にどれくらい財産を相続すると税金を課せられるかイメージがありますか?
100億円?10億円?1億円でしょうか?もしくは、1,000万円?100万円でもかかるのでしょうか?
答えとしては、実際に相続する財産からもろもろの資産を加算したり非課税資産や借金などを控除した後の「相続税の課税価格」から「基礎控除額」を控除しても控除しきれない財産額に対して課税がされます。この基礎控除額が重要となります。
<算式>
相続税額 | 課税価格 - 基礎控除額 × 税率 |
では、基礎控除額は一体どのくらいの金額なのでしょうか?次に詳しく説明していきますね。
相続税の基礎控除額とは?
具体的には次の算式で求めることとなります。
【以下は、平成29年8月18日時点の適用での金額となります】
<算式>
基礎控除額 | 30,000千円+6,000千円×法定相続人の数 |
いかがでしょうか?上記の式でもお分かりの通り、30,000千円は最低でも基礎控除額となるため、財産の30,000千円までは、課税されません。さらに法定相続人の数が多ければ多いほど基礎控除額は増えていきます。「ちなみに平成26年12月31日以前までは、50,000千円+10,000千円×法定相続人の数でした。」新しく改正された相続税法においては、この基礎控除額が見直されより相続税が課税されやすくなりました。ひと昔であればお金持ちだけが課税される税金だったのですが、この改正によって土地等の不動産を所有しているだけで課税される可能性が高まりました。
例として一般的な家族構成を踏まえて表にしてみました。
相続人の構成 | 配偶者または子のみ | 配偶者と子1人 | 配偶者と子2人 | 配偶者と子3人 |
法定相続人の数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 |
財産に係る基礎控除 | 36,000千円 | 42,000千円 | 48,000千円 | 54,000千円 |
こうしてみると、これ以上の財産をお持ちの方が課税される税金です。
基礎控除を控除した課税遺産総額に対して日本の税率でお馴染みの超過累進税率を乗じて相続税を計算することになります。
平成27年1月1日以後の相続税の税率
<速算表>
相続する財産額 | 税率 | 控除額 | 相続する財産額 | 税率 | 控除額 |
10,000千円以下 | 10% | 0円 | 100,000千円 | 40% | 17,000千円 |
10,000千円超 | 15% | 500千円 | 200,000千円 | 45% | 27,000千円 |
30,000千円超 | 20% | 2,000千円 | 300,000千円 | 50% | 42,000千円 |
50,000千円超 | 30% | 7,000千円 | 600,000千円 | 55% | 72,000千円 |
以上がどれくらい財産があると相続税が課税されるのかという内容でした。続いて贈与税についても簡単にお話していきます。
どれくらい財産を贈与すると贈与税が課税されるのか?
さきほどまでのお話は、個人が亡くなった場合に相続する財産がどれくらいあると課税される可能性があるのかといった内容でした。
ここでお話しするのは、個人が生前に財産をどのくらいあげる(贈与)すると贈与税が課税されるのか?ということをお話します。
相続税と同じく贈与税にも一定の基礎控除が設けられています。具体的には、以下の通りです。
贈与税の基礎控除額は?
【以下は、平成29年8月18日時点の適用での金額となります】
<算式>
基礎控除額 | 受贈者(もらった人)1人につき年間1,100千円 |
あれ?ずいぶん少ないなと思ったのではないでしょうか?相続税だと「30,000千円+6,000千円×法定相続人の数」なのに・・・。
また税率も相続税と同様に超過累進税率ですが、その段階的な税率が異なってきます。
平成27年1月1日以後の相続税の税率
<速算表・一般税率>
課税価格 | 税率 | 控除額 | 課税価格 | 税率 | 控除額 |
2,000千円以下 | 10% | 0円 | 6,000千円 | 40% | 1,250千円 |
2,000千円超 | 15% | 100千円 | 10,000千円超 | 45% | 1,750千円 |
3,000千円超 | 20% | 300千円 | 15,000千円超 | 50% | 2,500千円 |
4,000千円超 | 30% | 900千円 | 30,000千円超 | 55% | 4,000千円 |
基礎控除額だけでなく、税率を乗じる財産額も段階的な税率についても、あれ?相続税と比べ贈与税の方が重たいなと感じられませんか?
これには、理由があります。
相続税よりも贈与税の方が税負担が重たい理由とは?
相続税と贈与税の関係
それは、とても簡単な理由です。贈与税の方が相続税よりも税負担が軽い場合、個人が亡くなる前にあげた(贈与)方が有利となり贈与によって財産移動が発生し、本来の所得の清算時課税たる相続税が機能しなくなってしまうからです。そうした意味からも贈与税は、相続税の「補完税」という役割を持っています。ちなみに贈与税は、「暦年課税なので1月1日~12月31日の間に受贈者がもらった(受贈財産)に対して課税」されます。
まとめ
以下、これまでお話した内容を表にして簡単にまとめました。
相続税 | 贈与税 | |
基礎控除 | 30,000千円+6,000千円×法定相続人の数 | 受贈者1人につき年間1,100千円 |
税率 | 最低10%(10,000千円以下)
~ 最高55%(600,000千円超) |
最低10%(2,000千円以下)
~ 最高55%(3,000千円超) |
いかがでしたでしょうか?相続税、贈与税ともにどのくらい財産を相続したり、贈与すると税金がかかるのかイメージができたでしょうか?
少しづつでも構いませんので相続税と贈与税について身近に感じてもらえればと考えています。
仙台税理士・公認会計士の伊藤宏平でした。
それでは、また。