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2017年08月29日

遺言はなんでもありか?【相続税・贈与税を考える-その8】

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遺言はなんでもありか?【相続税・贈与税を考える-その8】

みなさん、こんにちは。仙台税理士・公認会計士の伊藤宏平です。

今日は、朝から聞きなれない携帯音で目が覚めました。最初は、地震発生の音だと思ったのですがどうも違ったようで布団から飛び起きました。
みなさんも驚いたのではないでしょうか?北朝鮮の威嚇ともとれるミサイルの発射でした。1回目の緊急アラームの後にもう一度アラームがなりました。
今度は、住んでいる地域の上空を通過したという内容のアラームでした。これもまたいやーな感じです。外に出ないようにとか不審なものを発見しても触れないようにとの内容でした。怖いですよね。日本は特に平和な場所が故にこういった緊急的なものが発生した時の対応が弱すぎるなぁ~と感じます。ただ、アラームに地下や頑丈な建物に避難するようにと言われても・・・と感じた目覚めの悪い朝のお話でした。

さて、今日も引き続き「相続税・贈与税を考える-その8」となります。今日のお話は、前回の遺言の補足の話となります。

目次

遺言の効力はなんでもありか?

前回、遺言という相続財産の按分の方法についてお話しました。詳しくは、遺言の効力って?【相続税・贈与税を考える-その7】

遺言というのは、一定の範囲で遺言者の意思を尊重するため、遺言によって相続分を指定したり、相続人または、相続人以外の者に財産を遺贈することでした。

この遺言というのは、よく遺産相続系のテレビドラマなんかで使われていますよね?どういったものかというと、葬式中に愛人が突然登場し全財産を与えるといった遺言を見せてくるパターンや隠し子が登場して遺言に隠し子に全財産を与えると書いているからすべてよこせ!なんていったシーンです。これってテレビドラマの世界だけじゃなく実際の世の中でもありうる話のようです。ですので極端な話、遺言者が遺言に全財産を愛人の○○に与えるなんて書いてあったら遺族はどうでしょう?

一家の大黒柱を失い、生活の糧というべき財産を全て愛人(他人)に奪われ、生活の安定を確保できないこととなってしまうのではないでしょうか?

一定の制限が設けられている

先に述べたように一家の大黒柱を失い、生活の糧というべき財産も愛人に奪われてしまっては、残されて遺族達も困ってしまいます。こうしたことから民法では、一定の相続人の生活保障等のために遺留分の規定を制度として設けています。

遺留分とは?

遺留分というのは、被相続人(亡くなった方)の「一定の近親者」のために相続財産を留保することをいいます。ちなみにこの「一定の近親者を遺留分権利者といい、兄弟姉妹以外の相続人をいいます。」以下に遺留分を相続できる相続人と具体的な遺留分の割合を記載します。

 

 

 

 

 

 

 

遺留分は民法で規定されているけど・・・

結論からいいますね。遺留分を侵害した内容の遺言であったとしてもその遺言自体は法的に有効となります。つまり、遺留分を侵害された者(上記の枠の相続人)が遺留分減殺請求権を行使した場合に限り、遺留分を侵害した部分のみが無効になるに過ぎないのです。遺贈は、原則として遺留分の規定に違反することはできないのですが遺留分を侵害した遺贈の全てが無効とならないのです。図の例で示します。

上記を例にすると「被相続人甲」は、「愛人X」に全財産を与えるという遺言を残して亡くなりました。この場合、遺言は効力を有効としますので全財産は愛人Xに権利があることになります。あくまでも遺留分として減殺請求権を相続人である「配偶者乙・子A・子B」が行使した場合に遺留分を侵害した部分までを無効とすることができるのです。先の表で説明すると上記の乙と子Aと子Bは減殺請求権を行使することによって遺産の1/2を超える部分を無効とすることができます。それでも1/2は愛人に取られるのかと思うと遺族は何とも言えませんが、愛人目線で立てば愛人だって被相続人甲の財力が生活の糧だったのかと思うと何とも言えない気持ちです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?遺言の効力はいったんは有効とするけども遺留分までは相続人の減殺請求権の行使をすることによって保証されるというのが今回のお話でした。お読みいただきありがとうございました。

さて、明日は安眠を得られることを祈りたいと思います。

仙台税理士・公認会計士の伊藤宏平でした。

それでは、また。