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2016年08月18日

【会社設立するなら知っててほしい】無料より高いものはないですよ。法人による寄付金の制限

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【会社設立するなら知っててほしい】無料より高いものはないですよ。法人による寄付金の制限

みなさん、こんばんは。仙台税理士・公認会計士の伊藤宏平です。

さて、今日お話しするのは、会社が寄付をした場合の法人税における取扱いとなります。

寄付ってよく耳にするし、街角で募金を募っている人に寄付をしたことってあるんじゃないでしょうか?

個人で寄付をすれば、所得税では、寄付金控除という制度があり、確定申告の際に調整することができます。

一方、会社が寄付をした場合ってどうなるのでしょうか?

そんな疑問を解消したいと思います。

 

目次

【寄付金ってなに?】

<寄付金の定義>

夏祭りや初詣など神社に行くと多くの会社が神社に寄付をしてその寄付した一覧を見ることがありませんか?

他にも会社は、地域や経済社会を担っていることからも各種団体に対する寄付なんていうこともしています。

法人税法では、上記以外にも以下の条文に当てはまるものは「寄付金」として取り扱うこととしています。

1~6(省略)

7 前各項に規定する寄付金の額は、寄付金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。事項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額によるものとする

8 内国法人が資産の譲渡又は、経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的な贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄付金の額に含まれるものとする

【出典:法人税法第37条(寄付金の損金不算入)】

いかがでしょうか?

寄付金について上記の定義を読んでいただいてわかって頂けた方は素晴らしいです。

そうじゃない人の方が圧倒的に多いので心配しないでください。私も当然にして税法の条文をみただけではよくわかりませんでしたから。

それでは、以下に寄付金の抑えるべき4つのポイントを説明します。

<4つのポイント>

1.経済的な利益の贈与や無償の供与についても寄付金に含まれる。

これは、有償だけでなく、無償によるものも寄付金に含まれるということです。

つまり、実際にお金を支出しただけでなく、無料で商品を譲渡した、無料でサービス提供した、無利息でお金を貸した、取引先が困っていたので債権を放棄したことも寄付金になるということです。

2.時価よりも低い価額で商品の譲渡やサービスの提供をしたり、低い利率で金銭や物を貸し付けたりした場合にも寄付金となる可能性がある。

時価よりも低い金額・利率で行った行為が全て寄付金に即該当するわけではありません。差額が生じることに合理的な理由があれば寄付金に該当しないとしています。

小売業や卸売業なんて商売をする上で大量購入による値引きが当然であり、それを寄付金とみなされていては商売ができないですものね。ただ値引きなら何でもいいわけではありません。

あくまでも合理的に時価よりも低いことを説明できる場合です。

3.寄付金を算定する時は時価で行う。

条文では、「譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額」としており、これは時価を指しています。

つまり、会社が土地(時価3,000万、簿価1,500万)を無償で寄付した場合は、以下の処理となります。

(借方)寄付金 3,000万 (貸方)土地1,500万

                   土地売却益1,500万

4.寄付金は、その支出があった時に寄付金と認定される。

前回、交際費等についてお話ししました。

中小企業の経営者に知っててもらいたい交際費等のあれこれ【法人税1-交際費等】

交際費等は、その支出がなく未払金で処理していても、接待や慰安などを行った時に交際費等と認定されます。

一方の寄付金はというと、支出があった時に寄付金と認定されます。すなわち、寄付をする意思をしても実際に支払いが起こっていないのであれば寄付金とはされません。

 

【寄付金の取扱いって?】

ここでは、寄付金といってもそれぞれ性質がありその寄付金の性質に応じて法人税法上、取扱いが違います。

<寄付金の種類>

1.公共性が高い寄付金

(1)国等に対する寄付金

公立学校の建設用の寄付など公共性が高く、国等に帰属することが明らかなものが該当します。

(2)指定寄付金

財務大臣が指定したもの。例えば、共同募金会が募集する寄付金、国立大学に対する寄付金などが該当します。

2.特定の公益性がある寄付金

(1)特定公益増進法人等に対する寄付金

独立行政法人などの一定の法律に基づいた法人で公益増進に寄与するものが該当します。

3.一般の寄付金

(1)一般寄付金

神社に対する寄付や町内会に対する寄付など様々ありますが、公共性が高いものではないのが特徴です。

4.その他の寄付金

(1)国外関連者に対する寄付金

国外関連者(50%以上保有するなどの関係がある外国法人)に対する寄付となります。

(2)完全支配関係がある法人に対する寄付金

法人によって100%支配関係のある法人に対する寄付となります。

<寄付金の種類に応じた法人税法上の課税関係>

上記で説明した寄付金の種類ごとの課税関係は、以下の通りです。

1.公共性が高い寄付金については、全額損金算入となります。

2.特定の公益性がある寄付金については、限度額まで損金算入が可能です。

3.一般の寄付金については、上記2.と同様に限度額まで損金算入が可能でs。

4.その他の寄付金は全額損金不算入となります。

上記を以下表にまとめましたのでご覧ください。

性質 公共性が高い 特定の公益性がある 一般 その他
種類 国等に対する寄付金 特定公益増進法人等に対する寄付金 一般寄付金 国外関連者に対する寄付金
指定寄付金 完全支配関係がある法人に対する寄付金
取扱い 全額損金算入 限度額まで損金算入 限度額まで損金算入 全額損金不算入
↓限度額 ↓限度額
(1)所得基準 (1)所得基準
①寄付金支出前所得金額✖6.25÷100 ①寄付金支出前所得金額✖2.5÷100
(2)資本基準 (2)資本基準
①期末資本金等の額✖3.75÷1,000 ①期末資本金等の額✖2.5÷1,000
(3)限度額 (3)限度額
((1)+(2))✖50% ((1)+(2))✖25%

 

【まとめ】

法人が寄付をする場合、有償、無償に関係なく、時価よりも低い場合には、通常の価額と時価との差額が寄付金に該当することを説明しました。

そして、寄付金の4つの種類に応じて法人税法上、課税関係が異なることとなるので留意してくださいね。

【編集後記】

リオのオリンピックで女子卓球団体で銅メダル、男子卓球団体で銀メダル、女子レスリングで今日までで3つの金を獲得。また、伊調選手がオリンピック4連覇の偉業達成!!凄いです。

伊調選手は青森県出身と東北人としての誇りですね。超人です。

メダルの数でいえば、ロンドンオリンピックのメダルを既に超えていると報道されていますね。

私としては、メダルの数よりも日本代表として競技に参加している一人一人の選手がベストを尽くしてくれればと思います。

ただ、当然、選手の皆さんはメダルを取るために4年間をオリンピックのために費やして参加しているのでまだ競技が終わっていない選手たちには引き続き頑張っていただきたいです。

会社を仙台で設立するなら税理士・公認会計士の伊藤宏平にお任せください。

それでは、また。