こんばんは。仙台税理士・公認会計士の伊藤宏平です。
さて、今日も引き続き会社設立のメリットをお話ししたいと思います。
目次
【赤字の繰り越し】
赤字を繰越せるとは、どういう意味でしょうか?
個人事業主は、1月1日から12月31日の暦年の一年間、会社は、設立時に定款で決めた一年間に稼いだ利益に対して課税されて納付します。
常に黒字であればいいのですが、赤字の年もありますよね?赤字であれば当然課税する金額がありません。ここで以下の例を示します。
前提条件:税率30%とします。
①A社は、3年間毎年300の利益が出ている会社(3年間のトータル900)。
②B社は、1年目は▲200、2年目▲100、3年目1,200の損益が出ている会社(3年間のトータル900)。
上記の例ではトータルの利益はA社、B社でともに900となります。赤字の繰り越しができない場合の税金計算は以下のようになります。
A社:300×30%×3年=270
B社:1,2年目は赤字のため0となります。3年目は1,200×30%=360
どうでしょうか?
両社は、3年間のトータルの利益は900で変わらないのに、獲得した年の利益によって上記の通り360-270=90も差が出てしまうのです。
これって不公平ですよね?そこで設けられたのが赤字の繰越控除です。
【赤字の繰越控除とは?】
赤字の繰越控除とは、先の例でいうとB社の1,2年目の赤字を3年目の黒字と相殺することができる制度です。
赤字の繰越しをすることによってB社の3年目の利益は1,200から赤字合計▲300を控除できるため900となります。
すると税金は900×30%=270となりA社の3年間の税金額と同額となります。
どうですか?良いときも悪いときも考慮されていて不公平間がなくなりましたよね?
【赤字の繰越期間は会社の方が有利】
赤字の繰越期間ですが、青色申告している個人事業主は3年間、会社は9年間となります。
会社の方が圧倒的に有利ですよね?
個人事業主の場合、3年間で控除しきれなかった部分は消滅しちゃいますからね。
9年間毎年赤字を▲100(赤字累計900)の個人事業主と会社がある場合、10年目は利益1,000だとします。
すると個人は過去の3年分の▲300、会社は9年分の▲900を利益の1,000と控除できます。結果は以下の通りです。
個人事業主:1,000-▲300=700
会社:1,000-▲900=100
税金の対象となる金額がかなり違いますよね?
こうしたメリットが会社の設立にはあるのです。
【編集後記】
東北の夏祭りがあちこちで始まっていますね。
八戸の三社大祭や青森市のねぷたと。
それ以外に近所でも夏祭りが開催されたりと夏ってイベントが沢山あっていいですね。テンションが上がります。
仙台税理士・公認会計士の伊藤宏平でした。
それでは、また。