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2016年08月27日

これだけは知っててほしい金融機関からお金を借りる時の5つの心得え

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これだけは知っててほしい金融機関からお金を借りる時の5つの心得え

みなさん、こんばんは。仙台税理士・公認会計士の伊藤宏平です。

今日は、中小企業の経営者に知っててもらいたい金融機関からお金を借りる時のポイントをお話ししたいと思います。

目次

【金融機関のことを知ろう】

お金を借りるのであれば、まずはお金を貸してくれる金融機関のことを知ることが重要です。

相手を知らずして勝つことはできません。

金融機関の生業ってどんなものかご存知だと思いますが改めて簡単に記載します。

金融機関の業務は多岐にわたりますのでここでは、割愛しますが、主な貸出業務について記載します。

  1. 預金者からお金を預かり、預かったお金を企業や個人に貸出しして利息を得る。
預金者

==お金を預ける=⇒

⇐=利息を支払う==

金融機関

==お金を貸し出す=⇒

⇐=利息を支払う===

法人

個人

こうした預かったお金を個人法人に貸出をした見返りに利息を受け取ります。そしてその一部は、お金を預けた預金者に利息として支払いします。

 

【金融機関-融資の考え】

金融機関には、個人や法人にお金を貸し出す際に、貸し出しの要否を決定する融資の専門部署があります。

以前テレビでドラマ化されていた「半沢直樹」の舞台となっていた部署ですね。

さて、みなさんは、お金を知人や見知らぬ人にお願いされたとしたらどんなことを考えますか?

お金が貸しても返ってこないのであれば貸したくないなと思いませんか?

私は少なくともそう考えます。

それと同じように融資部の担当者たちも貸したお金が返ってこない可能性がないかどうかを総合的に評価して貸出の要否を判断します。

その判断材料としては、金融機関によって異なると思いますが少なくとも以下の疎明資料は必要となります。

  1. 税務申告書一式(1~3期分)
  2. 決算書
  3. 登記簿謄本
  4. 定款
  5. 事業計画
  6. etc

 

【金融機関-査定の考え】

金融機関には、融資を専門に行う部署の他にお金を貸した後に、お金が返ってこない可能性がないか定期的に評価する部署があります。

それが査定の専門部署です。

お金を貸してもらえば勝ったも同然と思っていませんか?

もし仮に少しでもそう思ったとしたら少々留意が必要です。

というのも、査定を行う部署は、貸し出しした法人、個人に対して以下の5段階評価を行っています。

査定の専門部署がどうやって下記の5段階評価を行うかは、今回は省略します。

興味のある方は、金融庁が公表している「金融検査マニュアル」をご覧頂ければと思います。

  1. 正常先
  2. 要注意先(ヨウチュウと業界では呼んでいます)
  3. 破綻懸念先(ハケと業界では呼んでいます)
  4. 実質破綻先(ジッパと業界では呼んでいます)
  5. 破綻先(ハタンと業界では呼んでいます)

この5段階評価をされた法人、個人はどうなると思いますか?

察しのいい方であればお分かりだと思います。

要するに、お金を貸し出しして返済されない可能性をイメージで示すと以下のようなものです(あくまでもイメージです)。

  1. 正常先   返済可能性100%
  2. 要注意先  返済可能性   50%
  3. 破綻懸念先 返済可能性   20%
  4. 実質破綻先 返済可能性   10%
  5. 破綻先   返済可能性      0%

返済可能性の低い先に追加融資を行いたいと思いますか?

それぞれ返済可能性にある通り、返済可能性が下がれば下がるほど追加融資を受ける可能性は低くなります。

預金者から預かったお金を返済可能性がない法人、個人に貸したいと思いませんよね。

金融機関は、国民経済の発展を間接金融を通じて担う命題がありますが、負け戦はしたくないと考えるのが現在の金融機関だと思います。

 

【中小企業としての融資を受ける際の心得え】

ここまで、金融機関としてお金を貸し出す際の側面から記載していました。

ここでは、中小企業として新規、追加融資を受ける際のポイントを5つ記載したいと思います。

  1. 返済は契約通りに行いましょう。
  2. 決算書は会計の基準(中小企業の会計に関する指針など)に従って正しく作成しましょう。
  3. 税務申告書を正しく作成して正しく納税しましょう。
  4. 節税に重点をおくが故に決算書を赤字にするのはやめましょう。
  5. 事業計画(PDCA)を作成しましょう。

<返済は契約通りに行いましょう。>

書いてある通り、借りたお金はしっかり返済しましょう。これができなければ2~5を作成してもダメです。一番重要です。

<決算書は会計の基準(中小企業の会計に関する指針など)に従って正しく作成しましょう。>

金融機関が査定を行う上で数字上の判断材料としてとても大事な資料です。決算書は、会計の基準という作成ルールがあります。作成ルールに従って作成すれば正しく決算書が作成できます。

<税務申告書を正しく作成して正しく納税しましょう。>

正しく納税していないことは、脱税など不法行為となります。そのような法人、個人にお金を貸すことは金融機関として問題となります。そのため、税務申告書は、正しく作成し正確な納税を行うことが必要となります。

<節税に重点をおくが故に決算書を赤字にするのはやめましょう。>

節税のために決算書を赤字にすることは、会社の業績が悪く見えてしまいます。本当に必要な節税なのかよーく考えましょう。お金を借りたいけど節税したいために決算書を赤字にすることは、矛盾します。

<事業計画(PDCA)を作成しましょう。>

会社の1年~3年後の事業計画について作成しましょう。行き当たりばったりの事業より、将来の計画がある法人、個人に対しての方が、返済できる計画(根拠)があることとなります。

事業計画と聞いてすごく難しく感じると思いますが、経営者として例えば、海に航海するとしたら北に行くのか東に行くのか、北に行って何を釣るのか。東に行って何を釣るのかといった将来の計画を頭の中に描いていると思います。

それを具体的に数字化することが事業計画です。それは経営者だけでなく全ての関わる社員に見える化することで全社一丸となって同じ方向に向かうことができます。

また、事業計画は、P(Plan:計画)D(Do:実行)C(Check:評価)A(Act:改善)を必ずすることが重要です。

将来の経過ですから、計画になく途中で嵐に襲われたり、船が壊れたりと計画通りに進みません。

計画して計画に従い実行し計画通りにうまくいったか評価してうまくいっていなければ原因を調査して改善して再度計画する

計画⇒実行⇒評価⇒改善⇒計画・・・。というように実施することが重要です。

【まとめ】

今回は、融資を受けるうえで金融機関の融資、査定でどのように法人、個人が評価されているのか記載しました。

そして、中小企業としてお金を金融機関から借りるために留意するする5つのポイントを記載しました。

是非このブログを読んでいただき参考になれば幸いです。

仙台税理士・公認会計士の伊藤宏平でした。

それでは、また。